厚板プレス打ち抜き加工で歩留りを向上するには

厚板プレス打ち抜き加工で歩留りを向上するには

1.  材料の選定
歩留りに影響を与える主な要因の一つは使用する金属材料です。高品質かつ均一な材料を選定し、変動を最小限に抑えましょう。また、厚板プレス加工において歩留りを向上させるには、限界までギリギリの材料で生産することも重要です。 

2.  金型のメンテナンス
金型の定期的なメンテナンスを行い、寿命を延ばし、正確な形状や寸法を維持することで歩留りが向上します。良品を滞りなく生産するように金型を調整することで、製品の送りピッチを小さくしても安定的な打ち抜きプレス加工が実現できます。 

3.  プレス機の調整
プレス機の正確な調整が歩留りに影響を与えます。適切な圧力、速度、およびストローク設定を確保しましょう。 

4.  自動制御システムの導入
自動制御システムを導入して、厚板プレス加工プロセスを効率的に管理し、精密な制御を行うことができます。弊社でも、メインのプレス機械は自動化しておりますので、安定的な打ち抜きプレス生産が実現できます。

これらの手法は組み合わせて使用することで、厚板プレス加工の歩留りを向上させることができます。 
特定のプロセスや製品によっては、これに加えて製造プロセスの最適化やテクノロジーの導入など、 より詳細な対策が必要となるかもしれません。 

厚板プレス加工の具体的な歩留り向上の方法

プレスで打ち抜き加工をする場合にまずは、1列で打ち抜きプレス加工をすることが基本になります。
製品の外径50mm×板厚5mmの製品を材料の幅方向・送りピッチともに5mmで打ち抜きプレス加工で生産すると仮定します。 

1.  1列抜き

製品     : 外径50mm × 板厚5mm 
抜き桟 : 幅方向・送りピッチ 5mm 
1列抜き

上の図のようになるので、 製品1個を打ち抜きプレス加工をするのに、60mm×50mm×5mmの材料が必要になります。 製品1個当たり 129gの重量が必要になります。 
歩留りを向上させることは難しいですが、基本的な打ち抜きプレス加工の製造方法になります。
1個取りの金型を製作するのみになりますので、金型費用も比較的に安価で、
1ロットあたり、1,000個~5,000個程度までの小ロットの製造に向いていると言えます。
 


2.  多列抜き(5個取り金型で打ち抜きプレス加工)

製品     : 外径50mm × 板厚5mm 
抜き桟 : 幅方向・送りピッチ 5mm 

多列抜き(5個取り金型で打ち抜きプレス加工)

製品5個を打ち抜きプレス加工をするのに、250.5mm×55mm×5mmの材料が必要になり、 
製品1個当たり108gの重量が必要になり、1列抜きと比べると、約7~8gの歩留まりの向上を実現できます。 製品5個を同時に生産する金型を製作し、1回のプレス加工で5個を打ち抜きプレス加工をする方法です。 
多数個取り金型と呼ばれ、金型費用もかなり高額になります。また、1か所でも金型に不具合が起こると、5か所すべてを金型調整する必要があるので、扱いも困難です。また、歩留まりを向上させるために抜きピッチを小さくするためには、金型を再製作や改造をする必要があるので、追加の費用や製作期間が必要になります。 
ですが、多数個を一度に打ち抜きプレス加工をすることができるので、ノウハウを構築すると、毎月100万個以上の超特大ロットの生産には最もコストパフォーマンスに優れた打ち抜きプレス加工方法です。


3.  多列抜き(1個取り金型、ジグザグフィーダで打ち抜きプレス加工) 

製品     : 外径50mm × 板厚5mm 
抜き桟 : 幅方向・送りピッチ 5mm 

多列抜き(1個取り金型、ジグザグフィーダで打ち抜きプレス加工)

こちらも、製品5個を打ち抜きプレス加工をするのに、250.5mm×55mm×5mmの材料が必要になり、 
製品1個当たり108gの重量が必要になり、1列抜きと比べると、約7~8gの歩留まりの向上を実現できます。 1個取りの金型を製作するので、金型費用は安価に製造できます。1個ずつ生産をするので、多数個取り金型ほどのコストパフォーマンスや高くはありませんが、数万個~数十万個の量産加工に適していると言えます。 
ジグザグフィーダが最も得意な領域は、1~7列までに多列抜きに対応しており、フレキシブルな材料供給に対応でき、抜きピッチや送りピッチをレベラーフィード側で変更でき、歩留まりの向上を実現できることにあります。 

ジグザグフィーダのフレキシブル性とは 

上の例で説明した、外径50mm×板厚5mmで材料幅方向・送りピッチ5mmで打ち抜きプレス加工をしている製品と、同じ材料で外径40mm×板厚5mmで材料幅方向・送りピッチ5mmで打ち抜きプレス加工をする2つの製品を加工する場合に、下の図のように生産計画があるとします。 

・母材コイル930幅から 
・外径50mmを250.5幅×2コイルを5列抜きで打ち抜きプレス加工 
・外径40mmを206幅×2コイルを5列抜きで打ち抜きプレス加工 

フレキシブル01

次回の生産計画を立てる時に、 外径40mmの販売量が伸びているが、外径50mmの販売量が伸び悩んでいるので、外径40mmの生産量を多くしたいとします。 

 弊社のジグザグフィーダであれば以下のような対応も可能になります。 

・母材コイル930幅から 
・外径50mmを196幅×2コイルを4列抜きで打ち抜きプレス加工 
・外径40mmを206幅×1コイルを5列抜きで打ち抜きプレス加工、161幅×2コイルを4列抜きで打ち抜きプレス加工 

フレキシブル02

このように、1~7列までフレキシブルに材料の無駄をできる限りなくし、歩留まりを向上させた打ち抜きプレス加工が可能になります。特に弊社のように厚板プレスでの打ち抜き加工を得意にしておりますので、多数個取りではプレスの荷重的に難しい場合でも対応が可能になります。