厚板プレス加工 ブランキングの加工限界
プレス加工のブランキング(打ち抜き)加工の限界とは?
はっきりとした答えはありませんが、よく聞くのは、
16mmや20mmといった板厚です。
当社の厚板のブランキング(打ち抜き)加工限界は12mmで、
S45CやSCM435などの特殊鋼の10mmや12mmをよく量産加工をしております。
12mmのブランキングは難しいのか?
プレス加工業者の多くは最大で6mmや8mmまでが加工限界であることが多く、
また、SPCCやSPHCなどの普通鋼での加工対応であることが多いので、
当社のようにS45Cなどの特殊鋼を12mmまで厚板の
ブランキング(打ち抜き)加工ができるのは非常に少ないことです。
一般的な厚板のブンランキング(打ち抜き)の問題点
当社では厚板をプレス加工で打ち抜く専用金型でコンパウンド(総抜き)金型を採用しておりますので、
平坦度の高い加工ができます。
以前であれば機械の能力が不足していたので、外径と内径を2工程で打ち抜く、
一般的なプレスの加工方法を採用しておりましたが、
一般的な厚板プレスの打ち抜き金型構造ですと、板押えの矯正ができないので、
どうしてもソリ・ヒネリが発生し、平面押しの修正工程が必要になります。
なぜ8mmまでの対応が多いのか?
まずは、需要面からです。
弊社は建築・土木、自動車部品などをメインにさせて頂いておりますが、
自動車関連では8mmまでの需要がほとんどです。
やはり車の軽量化のために、板厚を薄くして、高強度な材料を使用したり、
またはプレスで曲げ加工をすると金属は強度を強くすることができるので、
どうしても厚板を使用して強度を確保するしか方法がない場合のみ
厚板プレス加工品を採用する事が多いようです。
厚板プレス打ち抜き加工をできる設備とは
続いては、設備の問題からです、機械メーカーにもよりますが、
プレス機械でブランキング加工の加工限界ですが、
200tプレス機で6mmまで、
300tプレスで8mmまでが一般的な対応ラインです。
多くのプレス加工業者では、300tプレスまでの保有が多いです。
300tプレスでもメーカーやラインナップにより、
6mmまでの加工限界の場合もあります。
また、プレス加工会社により、複合加工に対応するために、
機械の能力に余裕を持たせるために、独自に加工板厚の上限に余裕を持たせている場合もあります。
なぜ板厚12mmまで打ち抜き加工をできるのか
弊社の場合は、厚板ブランキング用の500tプレスを保有しておりますので、
板厚12mmまでの厚板プレス打ち抜き加工に対応できます。
板厚の厚い材料をプレス機械に供給するには
次に送り装置と設置面積の問題です。
コイル材をプレス機械に供給するレベラーフィーダですが、
板厚4.5mm以上になると各メーカーの受注生産品なります。
4.5mmの材料をコイルの巻き癖を取って、プレス機械ラインに必要な長さが約4m、
板厚6mmだと約4.5mのプレスラインが必要になります。
弊社では板厚10mmまで対応可能なレベラーフィーダを保有しており、
約6mの厚板プレスラインを組んでおります。
コンパウンド、打ち抜き、ファインブランキングの比較
ここで、当社の案件でよく比較対象にファインブランキングとの比較をします。
もちろん加工精度や仕上げの良さでファインブランキングが有利なのですが、
専用の機械や専用の金型が必要になり、設備は金型も非常に高価なため費用を回収するには、
非常に大量の数量やかなりの工数削減がファインブランキングを採用するためのハードルとなります。
下に、当社が対応しております、厚板プレスのコンパウンド(総抜き)加工と打ち抜き加工、
ファインブランキングの比較をします。
コンパウンド加工 | 打ち抜き加工 | ファインブランキング | |
ダレ | 大 | 大 | 小 |
せん断面 | 20~30% | 20~30% | 90~100% |
破断面 | 大 | 大 | 小 |
バリ | 大 | 大 | 小 |
平坦度 | 〇 | × | ◎ |
寸法精度 | 〇 | × | ◎ |
金型費用 | 〇 | 〇 | × |
金型調整 | 容易 | 容易 | 困難 |
機械設備 | プレス機械 | プレス機械 | 専用機 |
コンパウンド加工が当社で対応できる厚板プレス抜き加工です
上の表のように、かなりシビアな寸法精度や複数工程を集約してのコストダウンのメリットが期待できるのであれば、ファインブランキングが有利ですが、当社が採用するコンパウンド(総抜き)加工も金型費用や立ち上げまでのスピード、量産加工の効率化においては十分にメリットがあります。